属人的で非効率な業務フローからの脱却
差し支えない範囲で、学生寮の運用規模、運用体制について教えてください
株式会社ナルドは桜美林学園の100%出資事業会社でして、学生が快適に学生生活を送るためのサポート業務を行なっています。桜美林大学の留学生向けとして国際寮や第二国際寮の運用を委託されており、現時点の定員ベースでそれぞれ245人、84人の入寮や退寮、請求業務を行なっています。
業務に携わる社員は専任で2〜3名。また、それぞれの寮に寮長や寮母が2名の体制で業務にあたっています。システム導入前は、Googleフォームで入寮申し込みを受け付け、その情報を基にExcelで名簿管理シートを作成し、管理していました。また、請求書についてはWordの差し込み印刷機能を用いてPDFを寮生ごとに生成し、それをメール送信するというフローでした。
システム導入の機運が高まった背景や、課題意識はどのようなものだったのでしょうか
Excelでの管理だったため、業務上多くの問題がありました。まず、人によってやり方が微妙に異なり、業務の標準化に問題があったのはもちろん、その習熟度にもムラがあり、属人的な部分も多く存在していました。様々なツールをまたいで情報管理するため、情報のメンテナンス自体に非常に労力がかかっていたのも問題でした。
半期ごとに寮生が大きく入れ替わることに加えて、留学プログラムや学生の種別によって退寮までの期間が異なることも名簿管理を煩雑にしていました。人力でなんとかこなしてはいたものの遅かれ早かれ限界を迎えていたと思います。
また、寮管理は入寮したら終わりではなく、日々のトラブル対応やイレギュラーな対応が多くあります。そうした情報を逐一更新していく手間が大きかったのはもちろん、寮との間の情報共有の意味で、反映までのスピードが遅くて問題になることもありました。現場の記憶頼りになっていることも多く、情報の一元管理を進めたかったというのも間違いなくあります。
こうした状況のまま何年も業務を行なってきたのですが、社内の組織が変わり、こうした状況を改善していこうという機運が高まったことも背景といえます。1ストップで管理できるサービスを具体的に探し始めました。
ニーズに完全に合致したのがDormfor
Dormforを知ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか
社内の前任者が以前にザルファさん(※Dormforの運営会社)に問い合わせをしたことがあり、社内の情報共有の過程で選定候補として知りました。Webサイトを見る限り非常にニーズに合致していそうだったため、使い心地や機能の詳細を確認するためにお試し利用を開始したという流れです。同種のサービスと比べて、Dormforを選ぶ決め手は何だったのでしょうか
寮管理システムと謳われているものは一通りはチェックしたのですが、食事管理に重きを置いているところが多く、自分たちのニーズには合致しないところが多かった印象です。そうではないシステムでも、申し込み受付機能がなくてスタッフが登録する前提になっていたりと、あちらを立てればこちらが立たないというものが多く、機能面で満足できるサービスはありませんでした。
Dormforはそういった意味で最初から有力候補ではあったのですが、3ヶ月のお試し期間の間に機能面で問題なく、運用できるイメージが湧いたことは間違いなく決め手の一つだったと思います。手厚いだけでなく、スピーディーなサポートを実感できたのも大きかったです。また、こちらが追加機能要望としてリクエストしたものの多くが実装されたことで、よりニーズに合致する状態になったことも後押しになりました。
利用開始までに不安だったことや苦労されたことはありますか
機能面での不安はお試し期間が十分にあったので特にありませんでした。唯一、個人情報に関することは不安としてありましたが、Dormforの運用体制や対策を説明いただき、社内でも問題ないという判断に至っています。
利用開始前にすでに入寮している在寮生のデータをどうするかについては少し苦労しています。イレギュラーなケースもあり、Dormforが想定しているデータとして投入しにくい事情もあり、これについては改めて在寮生に情報を登録してもらう方向性で進めています。
Dormforを軸にすることで業務効率が劇的に改善
実際に本番運用を開始されての印象や感想をお聞かせください
まず何より、情報が一元管理されるようになったことで、必要な情報をすぐに引き出せるようになりました。名簿Excelファイルを更新する手間がなくなりましたし、寮長や寮母もDormforに直接アクセスして同じ情報を参照できるため、情報共有の精度もスピードも格段に向上しています。
セキュリティを高めるための機能が充実していることも助かりました。操作する人間にあわせて表示する情報や編集権限を細かく設定できるので、各寮長や寮母には不要な機能や情報で混乱させることもなく運用できています。固定IPアドレス環境の寮については寮長や寮母のIPアドレスによるアクセス制限をあわせて行い、入寮者の大切な情報を守るための体制を実現できています。
請求書関連業務の効率も大きく改善しました。今までは正しい請求情報を正しい人に送付するために、業務量はもちろん、チェック作業に伴う精神的な負担も大きかったのですが、CSVアップロードを行うだけで入寮者がマイページで確認できるようになるフローに変わったことで、効率や精度アップも、負担軽減も、すべて実現できています。加えて、イレギュラーなケースでの変更や再発行もスピーディーに行えるようになったことも大きなメリットと言えます。
移行にあたり、学生側からの問い合わせが増えたりはしませんでしたか
移行後の最初の入寮募集の際には、問い合わせがたくさん来ることを想定して、いわば臨戦体制で準備をしていたのですが、実際には問い合わせはほとんどなく、Dormforの操作性がまったく問題ないものであることが確認できました。ほんの1、2名、自動返信メールが届かないという問い合わせはありましたが、それらは別で対応して解決しています。Dormforには独自のSMTPサーバー設定を行う機能もあるようなので、メールの送達性に問題がでるようであればそういった機能の利用も今後検討するかもしれません。
今後、Dormforに期待することがあれば教えてください
もともと、ニーズに完全合致していたのであまりないのですが、在寮生の登録がより柔軟に行えるようになると嬉しいです。あとは、これがベストかはわからないのですが、寮生とのコミュニケーションがメールを介するのではなく、システム上ですべて行えるようになるのも場合によっては有用かもしれません。
すでに事務局を担うスタッフにとっては大満足なツールですが、寮生の生活をより便利に快適にするためにできることはあるのではないかと思います。例えば宅配便の受け取り連絡など、寮では細かいコミュニケーションも発生しているので、こうしたことも何かサポートできるようになるのもおもしろいかもしれません。
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